パートタイマーと呼ばないのは
ショートタイマー。短時間労働者。もちろん、そんな英語はありません。英語ではフルタイムとパートタイム。
なぜパートタイマーと言わないのか。理由は、日本ではパートタイマーは「常用・非正規労働者」だからです。ショートタイマーは「常用・正規労働者」。つまり、社員なんだけど労働時間が短くてよいことになっている人をショートタイマーと呼んでいます。
パートタイマーを正社員化したのがショートタイマー
じゃあ、パートタイマーとショートタイマーとは関係がないかというと、そんなことはありません。というより大ありで、実態としては、パートタイマーを正社員化したのがショートタイマーであることが多いようです。正社員化の理由は、待遇をよくして、離職率を下げることです。
日本の雇用は、よく二重構造と言われます。正社員は待遇がよく、非正社員はそうでもない。しかしよくみると、二重ではなく、三重になっているんですね。つまり「正社員(常用・正規労働者)」「常用・非正規労働者(パートタイマーや派遣社員で社員なみに定着して働いている人)」そして「アルバイト(非常用・非正規労働者)」です。
最近、雇用者の中で増えているのは非正規・非常用労働者です。正社員には、新卒定期採用でないと、なかなかなれません。若い人の人口は減っているので、正社員数は減少のトレンドが続くでしょう。中途採用も増えているはずだと考えがちですが、中途採用は社員が別の会社に移ることなので、マクロ的には正社員が増えないんです。
じゃあパートはというと、第二次ベビーブーム世代が1970〜72年生まれで、1年あたり出生数は200万人内外でした。現在、36〜38歳です。このあとは激減します。1歳あたりの人口は4割程度下がります。したがって、パートをしてくれる人を見つけるのも、かなり大変なんです。ですから、仕事の経験のある雇用者を確保する手段として、パートタイマーのショートタイマー化が進みます。
フルタイムにはならない?
人手不足なら、パートタイマーがフルタイムの雇用者になってもよさそうですが、夕方以降は子供の面倒見や余暇に使いたいとか、税法上配偶者控除を受けたいとか、いろいろな理由から、フルタイム化が進みません。それに、日本の正社員はサービス残業もしていて、フルタイムというより「オーバータイム労働者」なので、パートタイムとフルタイムでは拘束度合いの格差が大きいため、フルタイムになるのを嫌がる人もいるように思います。その意味では、本来のフルタイム労働者がいないのが、日本の特徴なのかもしれません。