意識の高い学生が参加します
インターンシップとは、日本の大学にとっては、学生が在学中に企業で働いて(というよりも、企業の厚意で仕事をさせてもらって)、職業についての、少しリアルな経験を積んで意識を高めることを目的とするプログラムです。
期間は主に夏休みの2〜3週間程度。企業は学生に賃金を支払いません。そのかわり、学生は大学の単位を取得することができます。
このプログラムが普及したのは、学生が就職できない、あるいはしない時代が、1990年代末に到来したためです。今世紀初頭には、大学・短大を卒業しても4月に就職していない学生が毎年20万人以上いました。最近は就職できない学生は減っていますが、あいかわらず就職しようとしない学生は少なからずいるので、大学はプログラムを継続しています。
インターンシップだけでなく、就職ガイダンスや指導にも単位を出している大学もあります。学校を出たら就職するというのが、当たり前のことではなくなっているのです。
ただ、インターンシップで学生のマインドが変わるかというとそうでもない。インターンシップに参加する学生は、そもそも職業に対する意識が高いことが多いからです。底辺の底上げは、難しいんですね。とはいえ、インターンシップが、そのような意識の高い学生にとって価値があることはまちがいありません。
会社の実態や問題点も見せる
米国のインターンシップはこれとは違って、学生は学期中も働き続け、賃金も支払われます。一種のアルバイトだと言ってよいでしょう。米国は学生ローンが普及しているくらいで、学費を自分で稼いでいる学生が多い。また新卒定期採用という慣行がありません。
だから会社でアルバイトをするのは、お金を得ること、職業を体験すること、そして就職先を探すこと、という3つの目的を同時に達成する手段になっているように思います。
話を日本に戻すと、企業は人手不足で、優秀な若手をなるべく早めに確保したい。その手段として、大学のインターンシップ・プログラムもいいのですが、米国型の、有償・長期のインターンシップ・プログラムを始める企業も現れています。
重要なのは、量を確保するだけでなく、適性を見ること。あわせて、会社と仕事の実態を理解してもらうことも必要です。場合によっては会社の問題点や、残業の実態なども開示します。これをやっておかないと、早期離職が増える危険があるからです。
このような方法は Realistic Job Preview と呼ばれます。
早期離職より怖い内定辞退
問題は早期離職だけではありません。最近は4月内々定が多くなっています。そして学生は複数の内々定を貰い、それから、どの会社に行こうかと考えます。逆に言えば、内々定を貰うまで真剣に考え始めないということです。
そして真剣に考えて、自分には合わないという結論に達すると、辞退して別の会社に行ってしまう。会社の内容を予め的確に伝えなければ、歩留まりが下がってしまうということになるのでしょう。インターンシップは、この観点からも重要になってくるものと思います。