リナックスとウィキペディア
あるサイトで「知っているようで実は知らない経営用語」の1位になっていたのがこのクラウドソーシングです。
クラウドは「群衆」とか「大衆」。
ソーシングはアウトソーシングのソーシングと同じで、要は外部に委託すること。
アウトソーシングでは委託する相手・・少なくともその候補者が予め決まった上で入札や取引をする(アウトソーシングに限らず取引は一般的にそうなのですが)のに対して、クラウドソーシングでは、ネットで委託内容を公開し、受託者を募ります。
つまり、誰が受託するのか、募集してみないとわかりません。委託内容全体に対応できるという人もいれば、部分的にしか対応できないけれど納品までの期間がきわめて短いという人もいるでしょう。
委託者は応募者の中から、受託者を決めて発注します。あるいは、一定の仕様でソフトウェアを公募し、納品された製品の中から優れたものを選んで採用し、対価を支払うといケースもあります。
クラウドソーシングは、すでに非営利的な活動では大きな成功を収めている手法です。
例としては、まずリナックスがあります。リナックスでは、ユーザーがソフトウェアを自由に書き換え、あるいは追加することができますが、変更内容は公開され、他のユーザーも最新のソフトを使うことができます。
もう一つの例はウィキペディア。ネット上の辞典が、ユーザーの追記によって変更されていきます。このような方法を採用することができるのは、ソフトウェアプログラムや知識の提供者が対価を求めていないからですが、対価を支払うビジネスの世界でも、このクラウドソーシングが拡大し始めているのです。
クラウドソーシングを社内で活用する
考えてみたいのは、このクラウドソーシングの手法を、会社の中で使ってみることです。
たとえば商品企画やソフトウェア開発に際して、担当部署で内製したり、担当部署から外部委託するだけでなく、社内でやってくれる人を公募します。対価は支払わなくてもいいし、採用されたものにだけ支払うというのでもいいでしょう。人材を公募するのではなくて、ノウハウやアイデアを公募するんですね。
企業、とくに大企業は人事異動もあるので、社員が皆、一番したい仕事のできるポジションにいるわけではありません。こんな仕組みがあると、したい仕事ができて活力があがるという人も出てくるのではないかと思います。
そしてもし高いパフォーマンスを示す社員がいたら、発注部署に異動してもらうのもいいかもしれません。要は、社員が能力を発揮したり、見せたりする機会をつくることが重要なのです。